歯科医院の経営者や採用担当者にとって、歯科衛生士の採用は大きな課題となっています。
「歯科衛生士の採用が難しい」という声をよく耳にしますが、この問題の背景には複雑な要因があります。
本記事では、歯科衛生士の採用が難しい理由を深掘りし、効果的な採用戦略や離職防止策について詳しく解説します。
さらに、採用にかかる費用の目安や適切な求人媒体の選び方についてもご紹介します。
歯科医院の円滑な運営には、優秀な歯科衛生士の存在が不可欠です。
長期的に働いてくれる人材を見つけ、定着させるためのコツを、ここでしっかりと掴んでいきましょう。
歯科衛生士の採用が難しい根本的な理由とは
歯科衛生士の採用が難しいと言われる理由の1つが、歯科衛生士の転職率の高さです。
公益社団法人 日本歯科衛生士会が、常勤・非常勤を含めた歯科衛生士全体を対象として「勤務先を変えた経験があるかどうか」を調査した結果が公表されています。
転職回数が「1回ある」という回答が21.4%、「2回以上ある」という解答は52.0%でした。(「令和2年3月歯科衛生士の勤務実態調査報告書」より)
つまり、70%以上の歯科衛生士は転職の経験があり、長期での採用は困難といえます。
また、歯科衛生士の有効求人倍率は2023年に過去最高の23.3倍を記録しました。
歯科衛生士は、なかなか採用に繋がりにくく、働きはじめても中々継続してもらえないというのが現状なのです。
コストをかけても歯科衛生士の採用が難しい・成功しない理由
歯科衛生士の採用に当たっては、人件費や広告費、採用媒体の利用料など、高額なコストが必要となります。
しかし、コストをかけたとしても、採用に直接的な因果関係があるとは限りません。
コストをかけてもうまくいかない理由を知っておくことで、採用に繋がる道を見出せますから、知っておくことが重要です。
歯科衛生士の求人倍率が高すぎる
公益社団法人 日本歯科衛生士会によると、2023年4月の歯科衛生士学校・養成校卒業生に対する求人倍率は23.3倍です。
これは「1人の歯科衛生士に対して、20以上の歯科医院がスカウトを掛けている」と言っても過言ではない状況にあるということを意味します。
つまり、歯科衛生士は売り手市場な状況にあるため、求職者は自分の希望に沿う職場を吟味したうえで応募したり、就職を決めたりすることが可能なのです。
待ちの姿勢の採用手段を取っていては、他の医院に優秀な歯科衛生士が取られてしまうことになりかねません。
ほかの歯科医院と差別化ができていない
歯科衛生士が応募先を選ぶときには、さまざまな求人を見たうえで比較検討します。
他のクリニックと同じような条件の求人では、インパクトも足りず、魅力が伝わらない可能性があり、「ここで働きたい」と思ってもらえる可能性が低くなってしまうのです。
他のクリニックとの差別化をはかるためにも、「自院ならではの魅力」を伝えることが重要となります。
写真や動画でリアルな雰囲気を発信したり、実際に働くスタッフの声を載せたりと、オリジナリティを出すように工夫を検討してみてください。
他の医院と比べて条件が良くない可能性
他のクリニックと比べて、条件が良くない可能性もあります。
複数の医院の条件を見比べた上での応募になるため、見劣りする条件では応募者は集まりません。
福利厚生やお給料、休みやすさなど、欲しい人材に合わせつつ長く働けるような条件を作っていくことが重要です。
特に、歯科医院は女性が多い職種なので、女性にとっての働きやすさを重視するといいでしょう。
採用予算が少なすぎる
採用予算が少なすぎるのも、なかなか採用に結びつかない理由のひとつです。
歯科衛生士をひとり雇うために必要な採用単価は70~80万円とされています。
研修などを含めると、100万円近く掛かってしまうことになります。
その予算に足りていない場合、やはり採用は難しくなってしまうでしょう。
歯科衛生士求人の成功のコツは給与設計
歯科衛生士の採用を成功させるためには、給与設計が重要です。
他の職種でもそうですが、歯科衛生士は資格が必要で、尚且つ売り手市場ですから、より良い給与設計のクリニックに求職者を取られてしまいがち……。
クリニックの院長や採用担当者の方は、給与設計のポイントを踏まえておくのがおすすめです。
歯科衛生士の給与設定のポイント
職場選びにおいて、最も重視されているのが給与であると言われています。
歯科衛生士の給与の決め方としておすすめなのが、次のスリーステップです。
まずは、ライバルについて知る必要があります。
そのため、ステップ1では競合の求人条件を確認しましょう。ここで、給与だけではなく、福利厚生も確認できると尚良いですね。
次に、ライバルクリニックの給与を高い順に並べてみましょう。
高すぎる、低すぎるといった給与も見えてくるでしょう。
最後に、その中で2番目の給与を目安に設定する、というのがポイントです。
高すぎることも低すぎることもなく、他のクリニックが多少賃上げをしたり、最低賃金が上がったりしても、平均よりやや高い位置をキープできるからです。
歯科衛生士の採用のコツは?
歯科衛生士を採用する難しさは分かっていただけたと思います。
採用担当者になったからには、難しいと言われようとも、歯科衛生士を採用し、できれば長く勤めて欲しいと思うものですよね。
ここからは、採用のコツについて見ていきましょう。
求人内容は具体的に記載
まずは、求人原稿に自院の魅力と待遇面をしっかりと記載することも重要だと言えます。
求職者は、最初に求人原稿だけを見たうえで他のクリニックと比較して応募します。
なので、この段階で、不足があってはいけません。不足があっては、魅力が伝えきれないからです。
その一方で、過分があってもいけません。
よく見せたいあまりに、自院の実態を盛って書いてしまうのも、「思っていたのと違った」と離職に繋がってしまう可能性があります。
待遇面について丁寧に書いておくと、魅力が伝わりやすいでしょう。
産休・育休の取りやすさ、復帰のしやすさ、福利厚生について記載があると魅力的です。
圧倒的に多い女性層へ向けた求人を!
歯科衛生士は、女性の比率が高い職業でもあります。
女性ならではの理由での欠勤や休職もいずれは起こってくるものです。
そういった女性ならではの理由に対応できることをアピールするのも、求職者に響きやすい求人の特徴と言えます。
特に、産休や育休などのブランクからの復帰がしやすいかどうか、子ども都合での早退や遅刻を受け入れてもらいやすいか、といった点が気になる方が多いようです。
サイトや医院のビジュアルも意識
サイトや医院のビジュアルを意識することも重要です。
シンプルすぎて、必要な情報が載っていないサイトも困りますが、情報量が多すぎてごちゃごちゃとしてしまっているサイトも、評価としては下がってしまいます。
クリニック自体のビジュアルとしても、鬱々とした暗い雰囲気であるよりも、明るく温かみのある雰囲気のほうが、求職者はもちろん、患者さんも親しみやすくなるでしょう。
顔が見える求人で安心感アップ
今どきは、求人サイトなどでの採用が多く、チャットやメールでのやり取りでほとんどのことが完結します。もちろん、それは非常に便利なことではあります。
その一方で、相手の顔が見えない、雰囲気が掴めない、と求職者からも、採用担当者からも不安が多いのも事実です。
そのため、雰囲気の開示をして、求職者との認識のズレを減らす意味でも、求人情報にクリニックや採用担当者、先輩職員などの写真を載せることをおすすめします。
そうすると、求職者は安心感を持つことができ、応募に繋がりやすくなりますよ。
歯科衛生士が求めている職場のポイント
求人情報の出し方のポイントについて見てきました。
次は、職場の改革やアピールについて見ていきましょう。
歯科衛生士は採用が難しいからこそ、1度採用に成功したら、長く働いてもらいたいもの。
長く働いてもらうためには、職場環境がいいことが重要です。
歯科衛生士が求めているのは、どんな職場なのでしょうか。
働きやすい人間関係
まず第一に、働きやすい人間関係ができているか、という点が重要です。
女性ばかりの職場は、何かと問題が起こりやすそう…というイメージを持っている方も多くいます。
温かく、親しみやすい人間関係が築けていることをアピールするのも大切でしょう。
質問のしやすさや、相談のしやすさといったところを重点的に改善してみてください。
仕事に見合った給与
仕事をするからには、それに見合った給与が欲しい、というのも求職者が望むポイントです。
平均的な歯科衛生士の給与は年収にして350~600万円と言われています。
また、パートやアルバイトは、地域差はあるものの、時給1,500~3,000円です。
勤務条件や勤務内容と見比べて、給与が足りていない面があれば、求職者からはじかれる対象となってしまいます。
恵まれた労働条件(勤務地、勤務時間、福利厚生など)
労働条件も、求職者が重視するポイントと言えます。
勤務時間や福利厚生といったことはもちろん、勤務地も大切になります。
複数のクリニックを持つ医院の場合、異動の有無やその頻度、どの程度意志が通るか、ということも重要。
異動の可能性がある場合には、その点もしっかり明記しておくことが必要です。
共感できる理念や方針
クリニックの理念や方針に賛同して、応募する求職者もいます。
そういった歯科衛生士は、長く勤めることも見込めますので、逃したくないところですよね。
はっきりとした理念や方針を掲げ、それを求人情報に明記しておくことも効果的でしょう。
医院長のメッセージというような形で記載するのもおすすめです。
キャリアやスキル、将来の展望
そのクリニックに勤めて、自分のキャリアアップやスキルアップは見込めるか、というところも、求職者が気にするポイントと言えます。
昇給の有無や、新しいスキルが身につくか、といった点を重視する向上心の強い求職者にとっては、そういったことが記載されていることも不可欠です。
長期的な目線を持たせることができ、離職率を下げることにも繋がるため、将来を想像できる記載はやって損はありません。
採用のコツは、自院との最適化を図ること!
一般的な求人と同じように、「月収:△△円~〇〇円」と幅を持たせる表現をした場合に、求職者は「自分だったらどこに当てはまるんだろう…?」と疑問を抱いてしまいます。
そのように記載する場合には「〇年目:××円〜」というように、目安をつけることもポイント。
また、何か変更があった場合や、より良い記載方法に気付いた場合にも、日々最適化を図るのが重要です。
歯科衛生士のおすすめの採用方法&媒体は?
歯科衛生士をいざ採用しようというとき、採用担当者の方の頭を悩ませるのは「どのように採用すべきか」という、採用方法や利用媒体についてですよね。
媒体によってもメリット・デメリットがあり、また、集まりやすい人材にも違いがあります。
ですから、媒体の選び方としては、クリニックの求める人物像や、媒体ごとの特徴を踏まえると良いでしょう。
縁故や大学、専門など
コネクションも大切にすべき方法の1つです。
スタッフが、自分の知り合いを紹介するため、お互いにミスマッチが起こりにくいのがメリットです。
内部の状況を聞くことができるため、働く環境を想像しやすいのもメリットです。
また、学校のキャリアセンターに紹介をお願いするというパターンもあります。
いずれの場合にも、デメリットは、条件に合わなかった場合にやや断りにくいというところでしょう。
自社サイト
ほとんどの求職者は、それぞれのクリニックの雰囲気を知るために近くのクリニックなども含めて、自社サイトを確認することが多いです。
SNSや求人サイトと連携させることでエントリー数の増加も見込めます。
また、自社サイトであれば自由にレイアウトできるため、画像を設定したり、理念を記載したりすることが可能です。
他のサイトなどと連携させない場合には、なかなか目につきにくいのが難点と言えるでしょう。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングのメリットは、双方向のコミュニケーションです。
気になる求職者と気軽にやり取りできますし、拡散力も高いので、求職活動をしていない「潜在層」にもアプローチすることができます。
また、SNSは基本無料で利用できるため、SNS経由で採用できれば外部に支払う費用は掛かりません。
さらに、身近なSNSを活用するため、求職者の投稿内容から、その人の人となりを把握できます。
ただ、拡散力を高めるためにはフォロワーの数が重要です。
そのため、一朝一夕には効果は期待できません。
ハローワーク
ハローワークは無料で求人票が掲載できます。
Indeedにも自動的に掲載されるので、一定の効果が見込めるでしょう。
ただ、ハローワークの求人票は非常にシンプルで、掲載できる内容は限られています。
写真や動画も入れられず、視覚によってクリニックの強みや魅力をアピールすることが難しいのです。
また、ハローワークを通じて求職者が応募する際には、「窓口から企業に連絡」「企業に応募書類を郵送」といった手間が掛かってしまいます。
求人サイト・求人誌
求人サイト・求人誌のメリットは、多くの求職者に求人情報を届けることができることです。
求職者の多くは求人サイトを利用して求職活動を行っているため、短期間で効率よく情報を届けられます。
求人サイトは、文字だけではなく、画像や動画などを掲載できるものも多く、これらを活用すれば、職場の雰囲気や先輩スタッフの様子など、言葉では伝えきれない情報を届けることも可能です。
掲載料金を支払う必要がありますが、1度の掲載で何人採用しても費用は変わらないので、複数名採用すれば、大幅に採用コストを抑えられます。
新聞折込チラシ
新聞折込チラシは地域ごとに発行されるため、地域を限定して採用ができます。
また、インターネットが不得意なベテラン層にも求人情報を届けることが可能です。
新聞折り込みチラシの場合は、紙面枠に対しての大きさや配送地域、配送日によっても費用が異なります。
最近では新聞を取っていない家庭も多いので、ほしい人材とマッチするかという点で不安が残ってしまうのが難点です。
人材紹介サービス
人材紹介サービスは、クリニックからの条件をもとに人材紹介会社が候補者を探すので、求める人材像にマッチした人材を採用しやすいのがメリットです。
また、歯科衛生士に特化したサービスも存在しているのも嬉しいポイント。
歯科衛生士特化型の人材紹介サービスでは、コンサルタントから求人票作成のアドバイスなどをもらえるため、採用ノウハウがないクリニックでも、求める人材を見つけやすくなります。
求人方法の選び方のポイント
求人方法を選ぶためには、クリニックの求める人物像や求人条件に合わせ、それぞれの媒体のメリット・デメリットを精査する必要があります。
また、採用に当たっての予算などとも照らし合わせておくと良いでしょう。
プロに任せてしまうのが、結果的にはコストを抑えられるというケースも少なくはありませんから、目先のコストを優先しすぎないのも大切です。
歯科衛生士の採用成功事例は?
歯科衛生士の採用にあたって、成功事例を知っておくのも重要でしょう。
デンタルリクルートでは、累計600以上の実績を持っています。これは、業界ではナンバーワンの実績です。
「自分で採用に取り組んでいた当初、全く応募がなく困っておりました。デンタルリクルートさんに依頼をさせていただいたところ、5〜6人面接をさせていただくことができました」
スピーディーに、そして効率よく採用が可能になったと、デンタルリクルートに依頼して成功した方々は仰います。
採用業務はスピード感も重要ですよ。
歯科衛生士採用ならデンタルリクルート!
歯科衛生士採用ならデンタルリクルートがおすすめです。
採用成功率は驚きの92%。
デンタルリクルートでは、採用の担当者が積極的且つ丁寧に対応するため、求職者からも採用担当者の方からも評価が高いです。
また、面談調整など、事務作業は基本的にデンタルリクルートが担当し、応募者を逃さないスタイルでの対応も期待できます。
人事部長や採用担当者としての役割を担ってくれ、金額も月額10万円(契約は3ヶ月〜、以降1ヶ月毎更新)なので、コストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。